年末が近づくと「おせち料理」をどうするか、悩む方が多いと思います。
特に近親者を亡くされた喪中の年には、「お祝いごとを控える」と言われますが、おせち料理は食べてよいのでしょうか?
喪中におせち料理を食べてはいけないとされる理由
おせち料理は「祝いの料理」だから
おせち料理はもともと「新年を祝う」「無事年を越せた喜びをあらわす」「年神様をお迎えする」などの意味合いを持つ、慶事的・祝祭的な食文化とされています。
紅白や金色などの華やかな彩り、伊勢海老・数の子・栗きんとんなどの縁起物が多く使われており、そのひとつひとつに「長寿」「子孫繁栄」「豊かさ」などの願いが込められています。
そのため、喪中という「慶事を控える期間」においては、祝いの意味が強いおせち料理を避けるという考え方が昔から伝わっています。
縁起物・紅白など“祝いの象徴”を避けるため
たとえば以下のような料理は「祝いの象徴」とされます。
縁起物 | 意味 | 喪中では… |
---|---|---|
紅白かまぼこ | 紅白の祝い色 | 控える |
伊勢海老 | 長寿・栄華 | 控える |
数の子 | 子孫繁栄 | 控える |
昆布巻き | 「よろこぶ」語呂合わせ | 控える |
栗きんとん | 金運・繁栄 | 控える |
喪中の期間には「めでたい意味づけを控える」「華やか・目立つ色や飾りを抑える」などの配慮が伝統的には期待されるため、これらの縁起物が入った料理を避けるべき、という判断が生まれています。
明確な禁止ではなく「慣習」
実は、「喪中におせち料理を食べてはいけない」という法律や宗教上の決まりは存在しません。
これはあくまで日本の風習・しきたりに基づくもので、宗派や地域、家庭によって判断が分かれます。
たとえば、「多少の祝意を抑えた内容なら許容する」「忌明け後は問題ない」、宗教・宗派によっては「忌中・喪中の祝い事を控える習慣」自体がないこともあります。
喪中でも「食べてもよい料理」と「控えたほうがよい料理」
種類 | 許容されやすさ・注意点 | 具体例・考え方 |
---|---|---|
普通の和食・日常食 | 基本的に問題ない(慶事性がないもの) | 魚の塩焼き、煮物、和え物、汁物、ごはんものなど |
年越しそば | 祝い性をあまり帯びない料理であり、厄落とし・延命祈願などの意味もあるため、喪中でも食べられるケースが多いとされています。 | 年越しそば、にしんそばなど |
お雑煮・餅 | お供え餅を簡素に調理して「祝い性を抑えた形」でなら可という意見あり | 餅を一切れ入れる、具を抑える、彩りを控えるなど配慮 |
おせちの一部(縁起物を除くもの) | 縁起色・飾り性が強い食材を除けば、食べても構わないとする見解あり | 黒豆(甘さ控えめで飾り性を抑える)、昆布巻きを外す、数の子を省く、地味な煮物を中心にするなど |
ふせち料理(喪中向けおせち) | 祝いの意味を極力抑えた構成で提供されるものがあり、これが「許される折衷案」として紹介されることが多い | 後述の通販例参照 |
喪中でも食べることが許される・配慮すべき料理・食材の例を挙げましたが、上記はあくまで「しきたり・慣習上無難とされる範囲」の話であり、最終的には宗派・寺院・近親者の意向・家庭判断が重視されます。
「喪中おせち料理」「ふせち料理」とは?
「喪中おせち料理」「ふせち料理」と呼ばれるものは、「おせち料理の構成を祝い色・縁起物を抑えたもの」「祝い性を薄めた形式」で提供されているお正月料理セットを指します。
たとえば以下のような工夫がされています。
- 赤・金などの色を抑え、自然色中心
- “寿”などの祝い文字を使わない
- 伊勢海老や数の子などの縁起物を除外
- 故人を偲ぶ陰膳(小皿)が付属する場合も
最近では、通販市場でも「喪中おせち」「ふせち料理」と名付けている商品が見られるようになりました。
通販で買える「喪中おせち料理・ふせち料理」
インターネット通販で購入できる喪中おせち料理・ふせち料理を紹介します。
兼昌 喪中おせち
おせち料理と仏壇にお供えする「陰膳」がセットになっています。写真の手前にある小さなお重がお仏壇に供える陰膳です。亡くなった方と一緒に同じ料理を食べたい方に向ています。
>>兼昌の喪中おせちを見てみる


縁起物を控えた喪中おせち 盛付済1段重 全21品目
甲羅盛り、バイ貝旨煮、里芋松葉串、お肉のしぐれ煮、あわび煮、よもぎ団子など全部で21品目がは入っています。
>>縁起物を控えた喪中おせちを見てみる

上記以外でも、インターネットで「喪中おせち 通販」のキーワードで検索すると、ネット通販で購入できる商品が表示されます。商品情報、お届け日などをよく確認の上、購入を検討してください。
喪中おせち料理・ふせち料理のマナー・注意点
- 宗派・菩提寺に確認
仏教の宗派やお世話になっている寺院によっては、喪中の過ごし方に明確な指針を持っているところもあります。できるだけ事前に確認しましょう。 - 近親者・家族の意向を尊重する
故人を偲ぶ方々の気持ちを優先することが大切です。「お祝いや華美を望まない」意向が強ければ、さらに抑えた料理にするほうが無難です。 - 祝い要素・飾り性を抑える
赤・金色を多用した盛り付け、華やかな飾りや松飾りを添える演出などは避け、落ち着いた色調でまとめるのが良いでしょう。 - 陰膳(お供え料理)を別方向で用意する
故人用に陰膳を用意する場合、別の場所にシンプルに設けて、宴席とは区別する配慮をしましょう。仏壇にお供えしてもよいです。
まとめ
喪中におせち料理を食べること自体は法律上・宗教上の禁止ではなく、慣習的な配慮です。
ただし、「祝いの意味を持つ食材・彩り」を控えることで、新しい年を静かに迎える“心の整理”につながるとも言われます。
お祝い気分を抑えつつ、家族の健康や故人への想いを込めて、「ふせち料理」や「喪中おせち料理」を取り入れてみるのも良いのではないでしょうか。