焚き火(たきび)の効果

作業活動

皆様は焚き火をされたことがありますか?私はたまにキャンプ場で焚き火の炎を眺めて癒されてます。今回は焚き火の効果とそのしくみ、焚き火をするにあたっての注意点についてまとめました。

焚き火とは

Wikipediaによると「火を焚くこと、火を燃やすこと、および、その火を指す」とあります。ここで説明する具体的な行為としてキャンプ場で暖をとったり、明かりをともすために薪を燃やすことです。「焚き火」と聞いて「野焼き」を想像する方もいらっしゃると思いますがここでは区別します。ちなみに「野焼き」は野外で廃棄物やゴミを焼却することです。

焚き火による期待される効果

焚き火を行ったらストレスから解放されリラックス(肉体的・精神的緊張が緩むこと)することは広く知られたことだと思います。ここでは焚き火の効果について研究報告から説明します。

  • ストレスからの開放

まずストレスによる身体への影響として、自律神経失調症状や気管支喘息の症状増悪(直接的な原因ではない)に加え、急性胃腸炎、脳梗塞、心筋梗塞、さらにうつ病や適応障害というような心の病気の原因となるおそれがあります。最近ではストレスレベルの高い状態が続くとがんの罹患率が高いというデータもあります(1

焚き火が自律神経失調症状や病気の予防につながるといった研究報告は見つかりませんでした。しかし、焚き火によるストレス軽減につながった研究報告がありますので紹介します。

焚き火に関する先行研究では焚き火の映像を視聴した結果、心理面を評価する検査では良好な結果が得られた一方、生理的なストレス値を示す指標では期待されるような結果が得られなかったようです。原因として小型モニターでの焚き火の映像のみの視聴であり臨場感に欠けていることや、被検者の多くが焚き火に親しみを感じていないことが挙げられていました(2。また暖炉有り無し条件で会話をした研究ではストレスホルモンであるコルチゾール分泌量を計測しましたが暖炉の有無での有意差は認められなかったようです(3

そのほか、焚き火を行う工程では、薪を運ぶ、割る、焚き火台にくべるなど木材と触れ合う機会が頻繁にあります。その中で薪と接触することでもリラクセーション効果が得られると考えられます。

木材接触に関する先行研究(研究ではホワイトオーク材やヒノキ材を使用)では、大理石やタイル、ステンレスを触れたときと比較し、副交感神経活動が高まったようです。一般的には副交感神経活動が高くなるとリラックス状態とされています(4

さらに、焚き火は大自然のなかで行うことが多いアクティビティと思います。草原や森林、小川、水辺に咲く花、山や空に浮かぶ雲など自然環境の映像を音を視聴したのち、感情を測定する検査ではネガティブ感情の得点が減少しストレス低減効果が確認されたようです(5

これらのことから焚き火を眺めるほか、自然環境の中で森林の中で草花を観たり、川のせせらぎを聴きいたり、焚き火を行う工程のなかで薪に触れる経験が重要であることが分かりました。

  • 人と人とのコミュニケーションを促進する

前述した暖炉有り無し条件で会話をした研究では、暖炉有りの部屋での会話の方が発話の回数が多く、発話の時間も長くなりました(ともに有意差あり)。また参加者間の距離が有意に短くなり、コミュニケーションが進んだことで相手の魅力が高くなったことも示唆されました(3

そのほか、丸山(2013)は「焚火には、集団の混乱過程、および本心や心の声を認知した過程を経た後に初めて、よりメンバーに本音を語りやすく、また受け入れやすくすることを加速させる」と述べている。

焚き火によるリラクセーション効果のしくみ

「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」が主なしくみとして説明されています。ゆらぎは自然や人の行動は全てゆらいでいるようです。例として、焚き火の炎のゆれかたや、川のせせらぎ、風の動き、蛍の光り方、人における心拍の間隔が挙げられます。これらのゆらぎは予測ができず不規則に変動します。fとは周波数で「1/√f」「1/f」「1/f²」「1/f³」などありますが、1/f ゆらぎの特徴はある程度の規則性をもっていますがそこに不規則性もあることです。規則的ばかりだと単調で飽きてしまいますが、不規則性が入ることで予測することを裏切ります。この適度な裏切りが人にとって心地よいものに感じリラクセーション効果があるものと思われます。

1/fゆらぎについてはゆらぎ研究の第一人者といわれている物理学者の武者利光氏により詳細が述べられていますので興味のある方は調べてみて下さい。

焚き火をするにあたっての注意点

焚き火を安全に行うための注意点を挙げます

  • 焚き火を行う場所の周りに燃えやすいものはないかの確認

枯れ葉は燃えやすいので焚き火台の周囲に枯れ葉など燃えやすいものがないか確認してください。テントを使用する場合、焚き火との距離は3m以上離して設置するようにしましょう。理由は火の粉が飛んで穴が開いたり、燃え移って火災になること、テントのロープなどの付属品で焚き火台やコンロが倒れてしまうことを防いだり、テントに煙が入り込んで一酸化炭素が充満することを防ぐことです。

  • 風向きや風速に注意する

風向きで火の向きや煙の向きも変わります。また強風の場合、前述したようにテントなどに火の粉が飛んで穴が開いてしまいます。火の勢いはあっという間に燃え広がります。

  • 消火の準備をしておく

火は大きくなるとどうにもならなくなってしまいます。火が大きくなる前に鎮火できるよう近くに水の入ったバケツを準備しておいてください。火災予防条例第25条にも「たき火をする場合においては、消火準備その他火災予防上必要な措置を講じなければならない。」とあります。

  • 火の大きさに注意

火が小さいからといって薪をたくさん入れていくと想像以上の大きさになってしまうことがあります。大きくなりすぎるとどうにもならなくなってしまいますので自分でコントロールできる範囲で行うようにしてください。

  • 焚き火の後、完全に消火する

焚き火をした後の消火をしっかり行って下さい。ほとんど燃えてないから大丈夫と思っていても残り火から出火することが多いようです。消火の方法として炭を水の入ったバケツにつけたり、自然に火が消えるのを待つ方法があります。ちなみに。消火のために木炭を土に埋めたら良いのではと思う方もいらっしゃると思いますが、木炭の成分は炭素であり炭素は自然に分解できないので注意が必要です。私は火消し壺を使っています。この方法だとすぐに消えますし、消えた炭を次の焚き火やBBQでの火おこしにも再利用できますので便利です。

  • 火床と地面との距離は20cm以上あける

火床が地面から近いと地面への損傷がしょうじてしまいます。そこに草花が生えていたら焦げてしまう恐れもあります。高さが低めの焚き火台を使用している場合、キャンプ場にコンクリートブロックがあればブロックを下に敷いて高さを調整することもできると思います。私は、念のために焚き火シートを使っています。

終わりに

焚き火の効果としくみ、焚き火を行うにあたっての注意点についてまとめました。最近は山火事のニュースも耳にします。安全に行いながら、焚き火にふれて癒されたり友人との距離を縮めてみませんか。

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参考文献)

1)Huan Song,Eiko Saito,Norie Sawada,Sarah K. Abe,Akihisa Hidaka,Taichi Shimazu, Taiki Yamaji,Atsushi Goto,Motoki Iwasaki,Shizuka Sasazuki,Weimin Ye,Manami Inoue& Shoichiro Tsugane.”Perceived stress level and risk of cancer incidence in a Japanese
population: the Japan Public Health Center (JPHC)-based Prospective Study.”SCIENTIFIC REPORTS,(11 Oct 2017)

2)大高 翔斗,本多 明生:焚き火動画視聴によるストレス軽減効果に関する研究.静岡理工科大学紀要,Vol.31,52-56,2023

3)松波 晴人,羽生 和紀:火のある暮らしの効用研究:暖炉によるコミュニケーション増進効果,Man-Environment Research Association,第19号,2007

4)池井 晴美:木材への接触が人にもたらす生理的リラックス効果.森林科学,No.86:36-39,2019-6月

5)川久保 惇,吉岡 明里,小口 孝司:自然環境の映像と音がストレス低減に及ぼす影響.Rikkyo Psychological Research,Vol.57:11-19,2015

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